近年、文部省が推進していることもあり浸透が進む「ICT教育」ですが、学校現場における「部活動」にそれを活用しようとする流れも、ごく自然なことと言えます。

ICT化する教育現場と部活動への広がり

「教育」という今まではアナログ主体だった分野に、ICTが入っていくことは必ずしも良い面ばかりでは無いと感じますが、それでもこれからの未来を考えた時に子どもたちがICTに慣れうまく付き合っていくことは、必要なスキルになると感じます。

 

実際に、ICTは学校での様々な分野

・授業

・家庭学習

・校務処理

といった学校内の多くの分野に導入されるようになり、課外活動である「部活動」に導入されているケースも増えてきました。

 

吹奏楽部に向けて行うICT的な支援

しかし、その導入の多くは野球やサッカーのような「運動系」の部活で、文化系の部活への活用事例はほぼ無いのが実情です。
そんな中、文化系部活動の代表格とも言える「吹奏楽部」に向けたICT支援をアンサンブル・ルヴァンでは行なっております。

それが、

ルヴァン・デジタルレッスン

です。

 

元々は関東で活動する私たちEnsemble Leventが地方に向けた学校を対象としてレッスンを行うためにはじめた動画を使ったレッスン形態ですが、この度のICT教育の流れを受けて、多くの学校や部活動で活用していただければと思っております。

 

ルヴァン・デジタルレッスンの概要とICTの可能性

ルヴァン・デジタルレッスンでは、

・パートの演奏や合奏を動画で撮影してもらい、それについて「レッスン」する。(部活→講師)

・こちらから「模範演奏」を送る(講師→部活)

という双方向でのレッスン展開が可能になります。

また、レッスンもいわゆるただ「教えられる」だけの講義的なものではなく、何について悩んでいて、その悩みをどう解決していくかを一緒になって考える「アクティブラーニング」的な手法を積極的に用いていきます。

 

また、ルヴァン・デジタルレッスンには専用の動画システムを利用していますが、それを利用することで、

・自分の演奏を何回も見ることができる。

・過去に遡ってレッスン動画を確認できる。

・講師の模範演奏を好きな時に聴くことができる。

といったことが可能となり、ICT教育の良さを私たち自身大きく感じています。

 

ICTを通して気づいて欲しいこと

教育と同じく「音楽」もやはり「アナログ=生」を大切にする分野であることは間違いありません。
実際、このルヴァン・デジタルレッスンを「それだけで完結」するものだとは思って欲しくない。

ルヴァン・デジタルレッスンを通して、生の演奏に興味を持ってもらったり、実際のレッスンに足を運んで見たり…そういった「きっかけ」を作っていけたらと思っています。

 

時代が大きく変わっている今だからこそ子どもたちは、ICTのようなデジタル技術とうまく向き合っていくことで、

・アナログの良さの再認識

・アナログとデジタルの使い分け

といった今までとは違った新しい角度から、音楽や芸術のアナログ的側面とその魅力に気づいていくのでは無いかと思います。

 

夏目漱石のことば

最後に、文明開化後、急速に欧米化していく日本を見ていた夏目漱石の言葉を彼の短編集より引用させていただきます。

「(気づいたら知らない船に乗っていて、周りには異人ばかりで心細い。ついには死んでしまうことを決意して男は船から飛び降りたのだったが…)自分はどこへ行くんだか判らない船でも、やっぱり乗っている方がよかったとはじめて悟りながら、しかもその悟りを利用することができずに、無限の後悔と恐怖とを抱いて黒い波の方へ静かに落ちて行った」
(『夢十夜』より第七夜)

 

大きな流れの中にあって、その違和感に逆行しようとした。それでも私はできなかった。

そんな言葉を彼は言っています。

 

日々「音楽」に向き合う私たちも、この凄まじいICT化の流れを、決して手離しで喜んでいる訳ではありません。それでも、その流れには乗る以外の選択肢はありません。
だからこそ、ICTも含めたデジタル技術を少しでも前向きにより多くの人に「音楽の良さ」を感じてもらえるような使い方をしていけたらと思っています。

 

この「ルヴァン・デジタルレッスン」に興味を持っていただいた方は、ホームページ内の「新しい吹奏楽指導のカタチ」ページをご覧ください。

一人でも多くの子どもたちが「音楽」を楽しんでもらえるようになるよう、手助けさせていただきます。

 

 新しい吹奏楽指導のカタチ