2017年(平成29年)より、スポーツ庁・文部科学省の方針として外部指導員の積極的な導入が制度化されました。

アンサンブル・ルヴァンではこれまでにも“ルヴァン・クラブ”として各学校に関わらせて頂く機会を頂いておりますので、この件に関してのレポートを書いておきたいと思います。

 

制度化に至る理由

 

今回は、この部活動外部指導員の制度が「なぜ生まれたのか」に関してです。

この制度が生まれた背景には、大きく2つの理由があります。

 

1.教員の経験がないことによる指導力不足

 

文部科学省の統計によると、部活動でその競技経験がない教員が顧問をしている割合は、

 中学校…約46%

 高校…約41%

大体、2つに一つは経験のない教員が部活動の顧問をしている計算になりますね。

 

もちろん、経験がなくても良い指導ができる“指導力の高い先生”もいらっしゃいますが、自分に経験がないということで、

 ・専門性がないためモチベーションが保てない

 ・部員に対して引け目(申し訳なさ)を感じてしまう

といった先生方の悩みもあるのではないかと思います。

 

 

2.忙しすぎる教員

 

そしてもう一つの理由がこれ。実際はこちらの方が重要な問題だと認識しています。

OECD国際教員指導環境調査(2013年)によると、日本の教員の勤務時間は、なんと

 53.9時間/週

これを週休2日で考えると、

 10.8時間/日

ということになります。これは34カ国中「最長」で、勤務時間だけで見ると、完全にブラック企業ですね…

(ちなみに一番短いチリは29.2時間で1日あたりは5.8時間です。)

 

そして実際には、この時間の中に休日の部活動なども含まれていると想定できます。

仮に、毎日1.5時間、週5日の部活を顧問をしているとすると、

1.5×5=7.5時間

が部活に取られていることになります。もし部活をしていなければ、

53.9−7.5=46.4時間/週

 9.3時間/日

となり、多少は教員の負担が軽減されることになります。

こうして考えると、部活動の指導も教員を忙しくしている大きな要因であることは明らかですね。

 

 

まとめ

 

学校現場に関わっていると感じるのですが、教員というのは思っている以上に忙しくて

・学級経営

・授業

・部活

・校務分掌(事務)

と普通の会社であれば3人で行う内容を全て一人の教員が行なっており、非常に忙しい職業と言えます。

 

 

これらの理由から、部活動にかかる教員の負担を軽減しようという今回の「部活動外部指導員」制度の導入はごく自然な流れだと感じます。

この制度の導入で、教員の主な仕事内容が、

・学級経営

・授業

・校務分掌(事務)

になれば良いのではないかと思っています。そして、その中でも特に教員の本分とも言えるであろう

・学級経営

・授業

に集中できるような環境が生まれると理想的ですね。

 

ただし、今まで学校の先生がやっていたことを文字通り「外部」の指導員が行うということには難しい問題も出てきます。

次回は、この制度の概要と、外部指導員による指導が抱える問題点について話をしていきたいと思います。

(次の記事はこちら)
 吹奏楽部の外部指導員の導入に関して|指導員制度の概要