2016年10月12日(水)。

団体代表が関わっている学校でコーディネートした芸術鑑賞会にいって参りました。

内容は、サントリーホールで行われたウィーン・フィルの公開リハーサルを、高校生が見学するというもの。

プログラムは、

ベートーヴェン作曲『交響曲第9番~合唱』
(指揮:ズービン・メーター)

ウィーンフィルチラシ
(こちらは本公演のチラシ)

この鑑賞会は、サントリーホールが主催している“青少年プログラム”として実施されているものです。

 

サントリーホールという日本屈指のクラシックホールで
ウィーン・フィルという世界屈指のオーケストラを聴く。

サントリーホール

普通に生きているだけでは、なかなか訪れない貴重な機会だと思います。

そんな貴重な機会を、今回は、サントリーホールに務めている知り合いの方のご厚意でいただくこととなりました。

せっかく頂いた機会ですので、なんとか子どもたちにとって、有意義な鑑賞会にしたいもの。
2学期に入ってから鑑賞会当日までの授業を使って事前学習を行うことにしました。

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その内容は、

①ベートーヴェンの人生について
②ベートーヴェンの音楽について
③ベートーヴェンの交響曲について
④『交響曲第9番』のプログラムノートをつくる

の4つを取り上げた事前学習です。

 

①ベートーヴェンの人生について 

ベートーヴェンの生い立ちから、恋愛事情など、彼をとりまいた人間関係に焦点を当てて
授業を行いました。

 

②ベートーヴェンの音楽について

そんな人生の中で、ベートーヴェンが想いを寄せた女性に対して送った『月光』『熱情』『エリーゼのために』といったピアノ曲や、

ナポレオンに捧げようとしたがそれを果たせなかった『交響曲第6番~英雄~』についても触れました。

 

③ ベートーヴェンの交響曲について

最後に、実際に鑑賞する『交響曲第9番』と並んでベートーヴェンを代表する曲『交響曲第5番』の1・4楽章を取り上げて、

ベートーヴェンの音楽的な能力・技術の高さについて触れると同時に、「苦悩を経て歓喜へ」という彼の音楽的なテーマについて触れました。

 

④『交響曲第9番』のプログラムノートをつくる。

①~③までの学習内容を踏まえた上で、『交響曲第9番』を映像で鑑賞し、
グループに分かれて、鑑賞当日に手元に置くためのプログラムノートの作成を行いました。

これは、音楽を選択していない一般の生徒にも配布するものだったので、「高校2年生から見た『第9』」のイメージで作成してもらい、最終的にこちらでまとめたものを配布しました。

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クラシック音楽は、その素晴らしさを感じる一つの側面としてに、事前に心と頭の準備を必要とする芸術でもあります。

特に、ベートーヴェンの『交響曲第9番』 のようにその精神性やメッセージが強い曲の場合には、単純に聴くよりも、その作曲家の背景や音楽的な流れを知ってから聴く方が、
より一層楽しむことができるようになります。

高校生で普段からクラシックに親しんでいる子どもの割合というのは、これまでの体感から言って60人に1人くらいの割合だと思います。

そんな生徒に少しでも『交響曲第9番』やクラシック音楽の素晴らしさを感じとってもらうために、思春期まっただ中の高校生に対して、より身近に感じやすい流れで作曲家を知ってもらう。つまり、

人間模様→音楽

という流れで事前学習を計画していきました。

また、クラシック音楽に興味を持ってもらうと同時に、

ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン

という普段は、音楽室の後ろでにらみを聞かせている作曲家が、少しでも身近な存在、体温のある人間として感じとってもらえればという想いもありました。

ベートーヴェン

合計6時間近くにわたって事前学習を行って臨んだ芸術鑑賞会当日は、サントリーホールの素晴らしい空気感も合わさって、非常に充実したものとなりました。

ほぼ1時間という長大な交響曲を、ほとんどの生徒が寝ることもなく聴き続けることができ、その素晴らしさを肌で感じることができたのは、

ウィーン・フィルやサントリーホールといったハード面での素晴らしさはもちろんのこと、事前学習というソフト面の影響も大きかったように感じました。
1ヶ月近い期間に渡って、事前学習を行ったことで、鑑賞会当日に向けての生徒のモチベーションが高まっていたことを感じました。

やはり本当に素晴らしいものは、それだけの十分な準備も含めて事前の「楽しみにする」気持ちを高めた上で楽しむことでより一層その“記憶”を止めることができるように思います。

 

今回の芸術鑑賞会が観賞した生徒の心に少しでも残れば幸いです。