ここまで前2回の記事で「令和6年度文化庁学校巡回公演」について書いてきました。
→【概要編】文化庁学校巡回事業とは?事業の趣旨と概要|令和6年度文化庁学校巡回公演実施団体として
→【魅力編】巡回公演事業におすすめできる団体としての6つの意義
3つ目にあたるこの記事を読んでくださっている方々は、おそらく
「アンサンブル・ルヴァンの学校公演を聞いてみたい」
と思ってくださっている方ではないかなと思います。(興味をお持ちくださって本当にありがとうございます。)
一連の記事の最後となる今回は「実際にどうすれば文化庁学校巡回公演に申請することができるか」をまとめておきたいと思います。
巡回公演事業の申請に関しては、毎年この事業に申請しているような経験のある先生方は比較的イメージしやすいと思いますが、令和6年度から一部システムが変更となった部分もあるようなので、この記事が申請を検討される全ての教職員の方の参考になれば幸いです。
目次
申請のポイント
まず、本事業の申請に関して重要だと思われるポイントをまとめます。
- 申請方法は「電子申請」(学校アカウントの作成が必要です)
- 申請作業や事務作業自体はそれほど大変ではない
- 申請期間が短い(11月〜12月の約1ヶ月間のみ)
- 過去に採択されていない学校ほど採択される可能性が高い
- Ensemble Leventは令和6年度はCブロック (茨城県 千葉県 東京都 山梨県 千葉市)
申請について
申請期間
令和6年度に巡回公演事業を実施したい場合は、前年度である令和5年の11月〜12月中に応募を行う必要があります。
令和5年11月16日(木)~令和5年12月25日(月)23時59分
申請方法
準備するもの申請にあたって必要なものは下記のとおりです
- 学校アカウント
- エクセルデータ(様式1−1、1−2、1−3)*Ensemble Leventの場合「様式1ー3」は不要です
申請手順(STEP1〜STEP3)
STEP1.申請に必要な「学校アカウント」の作成を行う
- https://rsms.co3.co.jp/bunka/Login にアクセス
- パスワードとIDに「学校コード」を入力(学校コード検索→https://edu-data.jp/)
- 現在のパスワードに「学校コード」を入力し「新しいパスワード」を設定
- ログインできるようになります
STEP2.エクセルデータを作成する
- 申請に必要なエクセルデータをダウンロードします(アンサンブル・ルヴァン専用申請様式エクセル→ダウンロード)
- 必要事項の入力(様式1−1、1−2をご記入ください)
*Ensemble Levent以外の団体を希望しない場合は「様式1−3」の記入は不要です。
STEP3.応募サイトにて「申請」を行う
- https://rsms.co3.co.jp/bunka/Login にID(学校コード)とパスワード(STEP1で設定)でログインする
- 「ファイルアップロード」からエクセルデータをアップロードする(エクセルデータのまま)
- 「申請フォーム表示」ボタンから申請状態を「申請提出」に変更する →申請完了
*CHECK!*
申請状態の欄が「受理」となっていれば申請が無事に完了しています。(必要に応じて事務局から連絡が入る場合があります。)
申請の詳しい方法に関して、詳しくはこちらの資料(マニュアル)もご覧ください。
資料
管理職提出用 〜Ensemble Levent巡回公演事業概要〜
応募くださる先生が音楽の担当や鑑賞会の担当の先生の場合、管理職の先生方に提出できる参考資料をまとめておきますので適宜ダウンロード、プリントアウトしてお使いください。
Ensemble Levent 巡回公演事業概要資料
本事業の申請に関して、ご不明な点がございましたら、(当団体に申請しない学校や、当団体の区分であるCブロック(茨城県 千葉県 東京都 山梨県 千葉市)以外の学校様の場合でも構いません)可能な範囲で申請のサポートをいたしますので、ご不明な場合はお気軽にご相談ください。
巡回公演事業申請における学校側の問題点
文化庁の予算で学校にトップアーティストを呼ぶことができるという意味で、基本的にはメリットしかないように思えますが実際には若干ではありますがデメリットもあります。以下に一例を挙げますが、申請にあたってはデメリットにいても十分にご理解の上ご申請ください。
- 学校側の負担が増える
…申請、調整、ワークショップの実施、本公演の対応といった業務が増えるため、学校及び先生方の業務負担が事業の効果に対しては軽微ではありますが増えてしまいます。 - 学年ごとに体験格差が生まれる可能性がある
…本事業は「毎年必ず採択される」というものではありません。そのため採択のタイミングによっては学年によって「たくさん見た(聞いた)学年」と「あまり見れなかった(聞けなかった)学年」といったように体験格差が生まれてしまいます。 - 内定するまで希望日程を空けておく必要がある。かつ「採択されない場合」もある
…申請の際に「様式1ー2」に『○』を記入した日程については内定時(翌2月頃)まで空けておく必要があるため、来年度の計画が一部流動的になってしまう可能性があります。 - 担当の先生が変わってしまう可能性がある
…本事業は「前年度に申請」を行うため、採択された場合でも異動等で「担当の先生が翌年度にその学校にいない」可能性があります。その場合、担当の先生の引き継ぎ等で業務負担が増えてしまいます。
以上、いくつかのデメリットを挙げさせていただきました。
子どもたちに良い芸術に触れる機会を設けることができるという点においては、非常に有意義な事業かと思います。しかし、実際のところは学校の行事は文化事業だけではありません。周年行事等々学校ごとに毎年行事の事情も様々かと思いますので、
来年度巡回公演事業に応募し実施ができるか?
に関しては、学校の先生方でしっかりとご検討の上エントリーされることをおすすめします。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
ここまで文化庁の巡回公演事業及び私たちアンサンブル・ルヴァンに関してレポートとしてまとめさせていただきました。
学校公演には大きく分けて
①学校独自の予算で行なっているもの(例:生徒から集金をして行う)
②行政の予算で行なっているもの
の2種類があります。
①は比較的自由度が高いため、この予算で毎年私たちを呼んでくださる学校もあります。
しかし、学校によっては学校の方針や生徒数、地域の所得などの理由から①で予算を確保することができない学校も多くあり、そういった場合に②の行政による事業が非常に重要になります。文化庁の巡回公演事業も当然②です。
比較的教育が手厚いとされる日本にあっても、やはり地域格差や所得格差の問題はあると思います。そして、少子化の問題も。
しかし、そういった子どもが選べない要因によって未来ある次の世代(子ども)が受けてしまう影響は極力少ない方が良い。
「貧富の差に関係なく一流の芸術文化に触れる機会を創出できる」という点において、文化庁巡回公演事業は非常に有意義な事業だと感じます。
そして私たちルヴァンのメンバーの中にも、小中学校時代に学校でふと出会った「感動体験」から今の音楽の道を志した仲間がいます。
文化庁の巡回公演事業を通して、私たちの音楽が子どもたちの可能性を少しでも広げることにひと役買うことができたのならこれほど嬉しいことはないと思っています。
本事業を活用して今まで巡り会えなかった学校や子どもたちとお会いできることを、メンバー一同心より楽しみにしております。
最後まで、本レポートをお読みいただきありがとうございました。