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【概要編】文化庁学校巡回事業とは?事業の趣旨と概要|令和6年度文化庁学校巡回公演実施団体として
では、文化庁巡回公演事業の特徴や申請期間といった概要をまとめました。
【魅力編】と題して、実際に巡回公演事業を活用して芸術団体を呼びたいとなった場合に、
どういった団体を呼ぶのが良いのか?
を、私たちの団体の場合の特徴(強み)を例にしながらお伝えしてみたいと思います。
目次
私たちの強み、私たち“だけ”の強み
さて、ここまで巡回公演事業についての大枠をお話しさせていただきましたが、
ここで令和6年度文化庁の巡回公演に採択いただいた私たちEnsemble Levent(アンサンブル・ルヴァン)について触れながら具体的な採択団体について少しお話ししておきたいと思います。
採択団体の概要
実は、私たちルヴァンはこれまでにも何度かこの巡回公演企画募集に挑戦したことがありましたが、今回初めて採択をいただきました。
今年の応募484企画のうち採択されたのが161企画なので、採択率は33%ということになります。
その中でも音楽系の企画となるとさらに少なく、私たちルヴァンと同じ「オーケストラ等」に属する161規格のうち35企画。
採択団体には日本全国の名だたるオーケストラが名を連ねており、いわゆる法人格を持たない団体(任意団体)としては、唯一の音楽団体となりました。
こうして今年事業実施団体として選んでいただいたことは、大変光栄なことと感じるとともに、これまでの私たちの活動を認めていただき大変嬉しく思うと共に、
せっかく選んでいただいた以上は、
子どもたちに本気で音楽を届けにいきたい
とその「決意」を新たにしています。
なぜ採択されたのか?私たちルヴァンの“強み”
ここで、私たちが“なぜ採択されたか”を改めて分析してみたいと思います。
この分析の結果がおそらく他の団体にはない私たちの魅力であり、
学校の皆様が数ある団体の中から、私たちルヴァンを選んでくださる理由にもなるのではないでしょうか。
私たちなりに考える本企画の強み(=意義)を6つまとめてみましたので、ご参考になれば幸いです。
強み1:子どもたちにとって“親近感”が湧く、フレッシュな団体である
まず、私たちルヴァンは今回採択された音楽団体の中で平均年齢でみた時に圧倒的に若い団体であるということが一つの特徴として挙げられます。
若い団体ってなんとなく心配・・・
そういったお声もあるかも知れませんが、そこは今回文化庁の厳しい審査を経て選んでいただいたという点からも安心いただければと思います。
2014年結成の団体は当時の音楽大学・芸術大学の卒業生を中心としたメンバーで結成され、そのまま10年間活動をし現在は主に30代のメンバーによって構成されています。
「伝統と実績」という意味では他の団体に負ける部分もあるのしれませんが、子どもたちから見た時に近い年代の音楽家とである私たちだからこそ“親近感”を持って聞いてもらえることは芸術鑑賞会実施において、一つの強みであり、若い団体ならではの柔軟な切り口での公演の制作はこれまでも多くの学校様に喜んでいただいてきました。
そして、日本ではあまり知られていませんが、あの有名なウィーン・フィルハーモニー管弦楽団も特定の法人格を持たない有志的な意味合いの強い団体です。(ただしメンバー全員がウィーン国立歌劇場の団員ではあります。)
私たちは、そんな偉大な音楽団体の背中を追うことで今の運営体制を整えてきました。
強み2:西洋×東洋(日本)の構図
私たちの公演「〜変幻自在!?〜管打楽器アンサンブルの七変化」は、オーケストラ等に分類されていながらなんと、“和太鼓”の演奏でスタートしていきます。
打楽器奏者の永野雅晴は西洋打楽器を専攻しつつも和太鼓で林英哲氏のヨーロッパツアーにも帯同したことのある珍しい打楽器奏者。
音楽の公演を邦楽器ではじめるのには、
日本人である私たちが西洋音楽を扱っている
という対比的な構図が込められています。
例えるなら、相撲を外国人がやるのと同じように「西洋音楽を日本人である私たちが演奏する意味」を私たちも考えており、学校公演においては、西洋音楽と日本文化を対比させていくことで、子どもたちにも日本独自の文化を感じて欲しいと考えています。
強み3:演目が豊富で飽きさせない
和太鼓の独奏という一風変わったオープニングからは、西洋音楽を扱います。
ただし、ここからの編成は木管5重奏、金管5重奏、打楽器2重奏、合奏と全ての曲が異なる人数での演奏によって構成されておりその様子はまさに“七変化”です。
私たちは鑑賞会において『視覚』の与える影響も非常に大きいと考えています。
音楽団体は『聴覚』に与える刺激が多いことは想像しやすいと思いますが、どうしても見た目的な変化に関しては演劇等に比べると乏しくなってしまうもの。
私たちのコンサートでは聴覚だけでなく、『見た目(視覚)』や和太鼓の『振動(触覚)』にも訴えかけるよう工夫されています。
五感を刺激しバラエティ豊かな公演にすることで、一般学級の生徒はもちろん特別支援学級などの要支援の子たちにも親しんでもらいやすくするという狙いもあります。
強み4:蓄積された学校公演のノウハウ〜“ともに創る”芸術鑑賞会〜
これは今回私たちが申請するにあたって他の団体様の資料を参考にしたときに気付いたことなのですが、
学校公演の実績だけで見ると、当団体はかなり実績が多い
ということがわかりました。
具体的に直近3年間の公表できる学校公演実績をまとめると、
となっております。
特に、事務所などに所属しているわけでもないのでこれら全てが
- 学校が私たちのHPなどを調べて直接申し込んでくださった
- 口コミで広がった
ことで公演実施に至った学校です
私たちは、
独創性を持ったウインド・アンサンブル団体として芸術的価値を高め、メンバーを含め団体に関わる全ての人を幸せにする。
ことを活動理念として主催公演なども定期的に開催していますが、その一方で結成時より教育機関と連携した事業にも力を入れてきました。
具体的には、学校公演のほか吹奏楽の部活動外部指導などでも学校と年間通して関わらせていただいております。
特に芸術鑑賞会事業では、“ともに創る”をテーマに掲げ、学校の先生や生徒と共に公演を創ることを大切に取り組んでおり、その点に共感した学校や各自治体から直接ご依頼をいただいてきました。
また、少ない人数ならではの魅力として演奏者と事務局が近い距離にいることで、学校や生徒との連携がスムースに図れており結果としてメンバー全員が教育的配慮ができることもその魅力の一つだと感じています。
強み5:演奏家全員の『顔』が見える。〜たった13人だからこそできること〜
50人規模のオーケストラの演目を想像してみてください。
その迫力はもちろん凄まじいものがありますが、限られた時間の中で50人全員の顔や名前、その人の人となりを知ることは難しいと思います。
子どもたちの目にもおそらく「一つの団体」として見えているでしょう。
しかし、私たちルヴァンのメンバーは全員で「13人」
曲間のMCもメンバー全員が声を行うように心がけており、子どもたちとの触れ合いも豊富です。
そして公演が終わる頃には、自然と「トランペットのお兄さん」「クラリネットのお姉さん」といった風に『人』が印象に残る。
学校公演において本物の芸術に触れるという目的はもちろんですが、
音楽を本気で志して、その道で生きているその「人そのもの」に触れる
という体験が、これからそれぞれの道に向かって生きていく子どもたちにとってのメッセージになるのではないかと思います。
そんな「顔」の見える音楽団体ということも私たちの強みの一つです。
強み6:オーケストラにはない“アンサンブル”の魅力
先ほどは、少人数だからこそ人間そのものを感じていただける。
という魅力をお伝えしましたが音楽的に見ても大編成のオーケストラ団体と私たちのようなアンサンブル団体には違った魅力があります。
まず、私たちの団体において特筆すべきは
「指揮者がいない」
ということ。
アンサンブル団体なので、当然といえば当然なのですが私たちは13人で演奏するにも関わらず、音楽的な指針となる指揮者をおいていません。
そのため各奏者の息づかいによる“アンサンブル”によってのみ全ての演奏が進行し、その様子だけでも子どもたちには印象的なようです。
指揮者がいないからこそ生まれる奏者同士の積極的なアンサンブルの様子から、子どもたちのその後の人生に対しても「主体的に自分たち(だけ)で取り組む」ことが時としてチームの“最大”になるということを知ってもらいたいと思っています。
そして、この特定の指揮者を置かないスタイルも先述のウィーン・フィルと同じなのです。(同団体は1933年以来、常任指揮者を置いていない)
まとめ
ここまで文化庁の巡回公演事業に実際に応募するにあたって、
どういった視点から団体を選ぶと良いのか
を私たちの団体に依頼した場合の強み(=意義)として6つほど例に挙げました。
ただこれは、あくまでも(誤解を恐れずに言えば)「大義名分」です。
結局のところその時間同じ空間にいてくれる子どもや先生方に私たちの音楽や姿から何を伝えられるかが“全て”ですし、
同じ内容であっても子ども一人一人によっても受け取り方は様々。
学校にこちらから伺って演奏する以上、聞いている子どもたちの中には極端な話、「音楽(=私たちの演奏)なんて聞きたくない」とすら思っている子がいるかも知れないと思います。
だからこそ私たちは演奏だけでなく、いかに子どもたちに“一人の人間として何を伝えるか”を大切にして進んできました。
その結果として、私たちの公演を喜んでくれた実際の過去の子どもたちや先生方の存在こそがアンサンブル・ルヴァンの最大の誇りであると感じています。
今回の令和6年度文化庁学校巡回公演事業を通して、これまで出会えなかった学校の皆さんとも出会えることを私たちも心から楽しみにしています。
次回は、いよいよ最終章。
実際の「申請の手順」について具体的にお話ししていきたいと思います。
この記事を読んで少しでも私たちに興味を持ってくださった先生方は、ぜひ実際に申請をしてみてください。
→【申請編・専用データあり】令和6年度文化庁学校巡回公演の申請方法〜ルヴァンを学校に呼ぶ〜