これからどんどんと広まっていくであろう「部活動外部指導員」制度。

前回の記事では、その制度の概要をまとめてみました。

(前回の記事はこちら)→吹奏楽部の外部指導員の導入に関して|指導員制度の概要

本格的に導入されていけば、非常に素晴らしくで色々なメリットもある制度ですが、新しい制度故に問題点も抱えていると思います。

 

今回は、そんな「部活動外部指導員」制度に伴う「外部指導員の課題」をレポートしてみたいと思います。

 

外部指導員が指導する上での3つの課題

 

吹奏楽部を外部指導員が指導する上で大きな課題になる部分が、「3つのコミュニーケーション」です。それぞれ、

1.学校とのコミュニケーション

2.教員(顧問)とのコミュニケーション

3.生徒とのコミュニケーション

つに分類できます。

「学校」というすでに秩序が出来上がっているところに外部の指導員が講師として入る場合には、この3者とのコミュニーケションが十分に行われないことで様々な問題が発生してしまいます。そのため、外部指導員の導入に関しては、この3つのコミュニケーション(課題)をそれぞれクリアする必要があります。

それでは、1つずつ具体的に見ていきたいと思います。

 

1.学校とのコミュニケーション

まずは雇い主でもある「学校」とのコミュニケーションです。

外部指導員は、学校長や教頭先生といった管理職の先生方から、学校全体の校風まで、学校の人や雰囲気を理解しておく必要があります。その上で、学校側(主に管理職)と適切なコミュニケーションを取り、学校運営から逸脱しないような指導が求められます。

そして、学校とのコミュニケーションをしっかりと行うことは、保護者への理解にもつながります。

これについては、学校側も外部指導員の導入に際して、生徒やその保護者に十分な説明をする義務が発生したため、双方向でのコミュニケーションが必要といえます。

(詳しくはこちらの記事も参照ください)→吹奏楽部の外部指導員の導入に関して|指導員制度の概要

 

2.教員(顧問)とのコミュニケーション

続いて、部活に関わっている「先生(顧問)」とのコミュニケーションです。

外部指導員が顧問になることを認めた今回の制度ですが、外部指導員が顧問をする場合でも、学校側は「担当の先生」を置くことが義務付けられています。そのため、当たり前のことですが「外部指導員が独断で部活運営を行ことう」が認められているわけではありません。

なので、学校の顧問の先生(もしくは担当の先生)とのコミュニケーションも当然必須で、こういった部活動を運営してくださる先生との関わりがうまくいかないと、活動や指導に対しても十分な理解を得ることができず、部活動の活動自体が制限されることにもつながり兼ねません。

 

3.生徒とのコミュニケーション

最後に、部活にいる「生徒」とのコミュニケーションです。

実際のところ、外部指導員が一番多く関わることになるのは、やはり「生徒」です。しかし、外部指導員自体は、部活の時間だけ、それも週に数回学校にくるだけの存在ですので、その中で生徒との十分なコミュニケーションをとっていくには、やはりそれなりの努力が必要になってきます。

これまでは当たり前だった、「学校の先生が顧問を務める」という体制の場合、学校の先生が顧問を務めるので、もし仮に部活で会わないことがあったとしても、校舎内で1日に1回くらいは顔を合わせていたと思います。

そういった“顔をあわせる時間”があることは生徒とのコミュニケーションや人間関係を形成していく上で非常に重要で、そこから生まれる信頼関係」があってはじめて、しっかりとした指導が成立するといえます。

そういう意味でも、外部指導員はそういった生徒との「信頼関係」を築く時間が限られているため、指導員側から意図的に生徒とのコミュニケーションを取る姿勢が大切になります。

 

まとめ

外部指導員の制度は、この先の教育現場における教員や、部活動のあり方を変えて行くことのできる素晴らしい制度だと思います。

しかし、学校という完成した組織の中に外部指導員が入る以上、学校側との適切な連携は必要不可欠です。すでに、多くの学校で外部指導員や、それに似たような立場の方がいらっしゃると思いますが、上手く機能している場合には、少なからず双方向のコミュニケーションがしっかりと行われていることと感じます。

この新しい制度を、しっかりと教育現場に活かすためにも、学校と指導員の方とのコミュニケーションが今まで以上に大切になってくることは間違いありません。これからこの制度を利用して外部指導員を導入する学校や、新しく外部指導員として関わる方々には、今回の記事で扱った「3つのコミュニケーション」の重要性を今一度確認して頂ければと思います。