2022年5月31日(火)。東京都新宿区にある“オペラシティリサイタルホール”にて『Ensemble Levent 6th Concert』を開催いたしました。

正式なタイトルは

『Ensemble Levent 5th Concert 春から初夏へ______。13人の管打楽器アンサンブルでおくる、A.リードの音楽』

2020年の5th Concertから新型コロナウイルスの影響もあり、2年ほど空いての開催となった団体の定期公演。 室内楽アンサンブルに定評の高い、都内屈指のホール“オペラシティリサイタルホール”での団体初の公演となりました。

 

コンセプト

本公演は、

吹奏楽界の巨匠、吹奏楽の大家アルフレッド・リード氏の作品を13名による管楽合奏を軸に取り上げつつ、当団体の特徴でもある各種アンサンブルを取り入れた形で行いました。

具体的には、2時間のプログラムに
・管楽13重奏(春の猟犬・パンチネロ・エルサレム讃歌:A.リード)
・フルート独奏(エア:武満徹)
・打楽器2重奏(カムシン:セジョルネ)
・金管5重奏(シー・スケッチ:マクドナルド)
・木管5重奏(サマーミュージック:バーバー)
・サクソフォーン独奏(バラード:A.リード)

を盛り込んだ充実のプログラムで5月ということで夏らしいプログラミングとデザイナー谷さや氏による素敵なビジュアルのチラシでお届けしました。

 各種アンサンブル団体や吹奏楽団体はありますがこれだけの編成を組んだ公演を行えるのは当団体の大きな魅力の一つです。 偉業を讃える

コンセプトのもと開催しました。

当団体Ensemble Leventフェネル氏が提唱した

各パート1本ずつによる吹奏楽=ウインド・アンサンブルの形態

を踏襲している団体なのですが

(参考ページ)→プロフィール

今回の定期公演では13人の管打楽器奏者によるウインド・アンサンブル編成で様々な吹奏楽曲をお届けしました。   本公演はクラシック音楽家を中心とした公演写真やプロフィール写真に提供のある写真家平舘平氏に、素晴らしい公演写真に収めていただきましたので同氏の写真と共に公演内容を振り返りたいと思います。  

プログラム

エア 武満徹 (フルート独奏 石田彩子) Air:TAKEMITSU Toru 吹奏楽の演奏会ではかなり異質となるフルート独奏によるオープニング。 真っ暗な会場に、フルート石田彩子が独創で届けた武満徹の作品“エア”。 本公演の会場となったオペラシティは大ホールに「タケミツメモリアル」という名を冠していることからも分かる通り、作曲家武満徹にゆかりのあるホールです。 そんな日本を代表する偉大な作曲家への表敬の思いも込めて本作品を1曲目に取り上げました。

〜「タケミツ メモリアル」名について〜

武満徹はコンサートホールの基本コンセプトをはじめ、設計段階から深く携わり、芸術監督としてオープニング企画を監修してまいりましたが、オープニングを前に他界されました。氏への感謝と敬愛の念をこめてコンサートホール名に「タケミツ メモリアル」をつけ加えました。また、ホワイエの中央には、武満氏のレリーフ(宇佐美圭司作)を配しております。(引用:東京オペラシティホール概要

  春の猟犬 A.リード(管打楽13重奏) The Hounds of Spring / Alfred Reed フルートの独奏に続いてお届けしたのは、日本の吹奏楽でも人気の高いA.リードの『春の猟犬』。 シンプルな構成ながら音楽的にも非常に充実しており、中高生にも親しみのあるアルフレッドリードの作品ではないでしょうか。 当団体でもこれまでも何度か取り上げさせていただいており、当団体の創立メンバーでもあり現在札幌交響楽団副主席奏者である川口晃氏による見事な編曲で13名とは思えない充実した楽譜となっております。

カムシン E.セジョルネ(打楽器2重奏) Khamsin / Emmanuel Séjourné 続いてお届けした曲は巨大なマリンバにカスタネットを組み合わせ、それを2人の打楽器奏者が挟み込む形で演奏される『カムシン』。 永野雅晴×永野仁美による文字通り“息の合った”アンサンブルで躍動的な楽曲は、室内楽のホールに美しくその音色を響かせました。    

サマーミュージック S.バーバー(木管5重奏) Summer Music for Wind Quintet, Op. 31 / Samuel Barber 木管5重奏ではアメリカの作曲家S.バーバーの作品『サマー・ミュージック』を取り上げました。 木管5重奏が毎年、能楽堂にて開催しているシリーズ『FUEIRO(笛色)』でも取り上げた本作品は、夏の気だるい雰囲気と、木管5重奏ならではの疾走感あふれるアンサンブルが特徴的な作品で、タイトルの副題の通り“初夏”を感じる楽曲でした。  

シー・スケッチ I.マクドナルド(金管5重奏)Sea sckeches / Ian Macdonald 金管5重奏も木管5重奏に続いてI.マクドナルドの作品『シー・スケッチ』をお届けしました。 “海”をモチーフにした標題音楽で、雄大な海や夕暮れなどといった海にちなんだ情景が各楽章にまとめられています。 当団体Ensemble Leventは、元々木管5重奏と金管5重奏が主体となって立ち上がった団体であり、その背景から両アンサンブルともに属しているホルンの代わりとして金管5重奏にはユーフォニアムが入ります。 世界的にみてもあまり類を見ないこの編成ですが一般的な金管5重奏とはまた一味違う柔らかくも豊かなサウンドを持った編成となっています。

パンチネロ A.リード(管打楽13重奏) Punchinello / Alfred Reed アンサンブルを中心にお届けした前半に対し、後半はA.リード作品をお届けしました。

そんな後半一曲目を飾ったのは、「パンチネロ」。 “ピエロ”を意味するこの作品は、快速な雰囲気の中でどこかおどけた表情を見せるまさにピエロを彷彿とさせる作品。 「ロマンティック・コメディのための序曲」という副題がついています。

今回、当団体としても初演となったこの曲をアレンジしてくださったのは、私たちと同じ東京藝術大学のチューバ奏者山田大氏。 素晴らしいアレンジで、ぜひまた再演したいと思います。  

バラード A.リード(サクソフォーン独奏 山﨑憂佳) Ballade / Alfred Reed

続いてお届けしたのは、前半のアンサンブルで唯一出演のなかったサクソフォーン山﨑憂佳による独奏で『バラード』。 アルフレッド・リード作品の中でもその甘美な旋律から人気の高い楽曲の一つです。

 

エルサレム讃歌 A.リード(管打楽13重奏) Praise Jerusalem! / Alfred Reed

公演の最後にお届けしたのは、『エルサレム讃歌』。

2022年は感染症や、国際紛争など決して平穏とは言える状況ではありませんでしたが、音楽家としての私たちが届けられる一つのメッセージも乗せてこの曲を選びました。

ゴミタスが収集した“聖歌”をモチーフにした作品で、 (ちなみに同じくゴミタス氏が収集した民謡をもとに生まれたのがA.リードの名曲『アルメニアン・ダンス』) 長大な作品ながら音楽的には非常に充実した珠玉の作品と言え、まさに本公演のメインに相応しい楽曲でした。 『パンチネロ』同様、『エルサレム讃歌』も団体13重奏版は本公演が初演。

編曲はユーフォニアム奏者としてだけでなく、作編曲家としても活躍する庄司燦氏に依頼しました。  

出演

出演は私たちEnsemble Leventのメンバー13名。

Ensemble Levent

Flute/石田彩子(第2回アジアフルートコンクール第1位)
Oboe/佐竹真登(日本フィルハーモニー交響楽団)
Fagott/大内秀介 (日本フィルハーモニー交響楽団)
Clarinet/西澤いずみ(東京藝術大学大学院卒)
Saxophone/山﨑憂佳(東京藝術大学大学卒)
Trumpet/古土井友輝(東京藝術大学大学卒)
/重井吉彦(読売日本交響楽団契約奏者)
Horn/能瀬愛加(東京藝術大学大学院卒)
Trombone/竹内優彦(THE ORCHESTRA JAPAN)
Euphonium/兼清颯(東京藝術大学大学卒)
Tuba/芝宏輔(ぱんだウインドオーケストラ)
Percussion/永野雅晴(東京藝術大学大学卒)
/永野仁美(東京藝術大学大学院卒)

公演を終えて

新型コロナウイルスの影響を受けて、3年ぶりとなった定期公演の開催。

文化庁ARTS for the future! 2の助成もいただきながら開催させていただき、美しく音響的にも優れた会場でA.リードという素晴らしい作曲家の充実の作品群を取り上げることができ、団体としても飛躍の公演となりました。

会場にお越しいただいた方々から、本当にありがたい好評の言葉も多くいただき、また、普段はレッスンで関わっているルヴァン・クラブ(吹奏楽指導)の各校の生徒さんの終演後の笑顔が改めて心に残りました。

合奏だけにとどまらず、アンサンブルも得意とし、それを存分にプログラミングできた本公演は、“管楽器1本ずつと打楽器による室内合奏団”という当団体の独自性を改めて確認できる素晴らしい公演となったように思います。

ご来場くださった方々や当公演に関わってくださったすべての方々に、この場をお借りして改めて御礼申し上げます。

ありがとうございました。

公演のご依頼を承っています

当団体では過去に取り上げたコンサートをベースにした依頼公演も承っております。

・各自治体の主催公演 ・財団やホールの主催公演

などをお探しの方はお気軽にお問い合わせください。

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