結成当時から行ってきた私たちの吹奏楽部指導(ルヴァン・クラブ)ですが、部活動の外部移行が本格化したことで最近は「一括での指導依頼」も増えてまいりました。

そんな中、大変ありがたいことに2025年はほぼ全ての指導校が吹奏楽コンクールにおいて『金賞』をいただく結果となり、どのバンドもとてもいいサウンドをしていました。

特に、団体が総合指導(コンクールの指揮も当団体で担う)している中学校と高校はそれぞれ2校ともに金賞を受賞することとなり、同校数年ぶりの金賞を受賞(いずれも6年以上ぶり)の嬉しい結果となりました。

この記事では今年度の指導校の結果をまとめておきます。

2025年度吹奏楽指導“ルヴァン・クラブ”指導校吹奏楽コンクール結果まとめ

No. 学校 部門 昨年度 備考
目黒区・中学校 中学B部門 金賞 銀賞 創部初
文京区・一貫校 高校B部門 金賞 銀賞 同部門初の金賞
文京区・一貫校 高校B部門 銀賞 銀賞
川口市・中学校 高校BⅡ部門 金賞 銀賞 6年ぶり金賞
さいたま市・中学校 B部門地区大会 金賞 銅賞 6年ぶり金賞

この結果は『昨今の外部移行に対する一つの答え』にもつながったのではないかと思っています。

制約の中で工夫した練習、悲願の金賞へ。

私たちがメインとなり指導した中学校・高校についてお話してみたいと思います。

この2つの学校に共通して言えることは、どちらも『練習時間が限られている』という点。

両校ともに1週間あたりの練習時間は4日平均で、合奏などはほぼ土曜日1日のみという状況です。

これは、全国大会を目指しているような学校からすると考えられないほど少ない練習量かと思います。

練習時間が潤沢にある中活動できれば子どもたちの楽器の技術向上や合奏の質の向上につながることは間違いありませんが、昨今の働き方改革や外部移行といった流れの中で部活動の練習時間は全国的に減少傾向にあり、限られた中でもいい活動をすること→つまり、適切な指導と練習の重要性が高まってきています。

「毎年練習量が減ってしまっている…これだけの練習時間でいい音楽ができるか不安だ」

一見厳しそうな状況下であっても正しい方法で練習を重ねればいい結果(といい音楽)につながるということを、日本全国同じような境遇で頑張っている子どもたちに伝えたいと思います。

もちろん、私たちも都度お伝えすることですが吹奏楽コンクールで金賞をとることが中高生時代の音楽活動における全てではありません。

それでもやはり「金賞」を取った時の笑顔や、涙は本当に尊く、私たちも「指導していてよかった」と感じさせてもらえる大きな瞬間の一つとなっています。特に、それまで金賞を取ったことのなかった子どもたちが制約を乗り越えて「金賞」を手にした瞬間は本当に嬉しそうです。

 

学校が抱える問題

当団体にご依頼いただく多くの学校は、「何かしらの活動における制約」があることが多いです。

・練習時間
・練習環境
・楽器の状態
・指導面
・予算面

などといった部分に悩みを抱え、「なんとか状況を変えたい」と私たちを見つけてくれます。

その多くがいわゆる歴史的にも厚みのある強豪校や古豪と呼ばれるような学校ではない(逆にいうと毎年金賞を取る学校さんには上記のような環境面と伝統がしっかり根付いています。)ため、その点においては「どんな学校でも再現できる可能性のある指導」と言えるのではないでしょうか。

もちろん伝統として充実した環境が整っている学校は、子どもたちとっても本当に幸せな場所ですが、実は世の中の多くの学校は「そもそも環境自体が整っていない」という状態にあったりします。

そういった中で、どうやって充実した練習を重ねるのか。

環境が整い切らない学校であっても金賞(いい音楽体験)を諦めず、いい音楽を目指すことへの一つの示唆となれば幸いです。

 

私たちの指導の強み

 

複数校と関わる私たちの指導の強み

私たちの指導における大きな強みの一つが、外部移行やレッスンしている学校さんとの関係を複数校持っていることです。

複数関わる学校があることでお互いに協力体制を整えることができました。具体的には

①お互い学校を使用しての合同練習

②指導校同士での練習会(聴かせ合い・おさらい会)

③共通の指導陣と指導方針、ノウハウの共有

の3点があります。

①は学校現場にいる方だとわかると思うのですが、各学校にはさまざまな事情で練習できなくなる日が存在します。(学校行事、説明会、オープンスクール、他の部活動の大会、講習などなど)

複数校を並行して指導していることで、例えば一方の学校では練習できない日でも別の学校と合同練習をするといった助け合いの仕組みをつくることができ、部員たちにとっての「練習はしたいが練習する場所がない」といった環境面の問題をクリアすることにつながりました。

②も①に準ずる形ですが、普段から学校間の隔たりを少なく活動していることでコンクールなどの本番前に合同での練習会や発表会を開催できました。やはり、こういった「誰かの前で発表する機会」はコンクールなどの本番においては非常に重要でその機会をお互いにつくれることの意義は大きいと思います。

③は、複数校それぞれの情報の共有が可能になることや、どの学校も「同じ楽器の先生(ルヴァンメンバー)」が指導しているため、合同で練習を行った際にも「共通のメソッド(楽譜)が使用できる」「指導の内容に一貫性がある」となりより有意義な練習に繋がっています。

 

後にも先にも結局は「子どもたちの可能性」

当たり前のことですが、良い音楽や結果のためには『子どもたちの力』が最も大きいことは間違いありません。

私たちのような指導者はその子どもたちの「もっと練習したい」、「もっと音楽をしたい」という原動力に“賭ける”職業です。

なので、結局のところ子どもたちの気持ちに依る部分は大きい。

 

毎年銅賞を取っていたようなバンドには、そもそも「やってもどうせできない空気」があったりもしますが、これまでの経験上どんな学校でも「本気で音楽(楽器)と向き合いたいと思っている子ども」が1人以上はいるものです。

ある意味では『良い音楽や指導に飢えている』のがこれらの学校の特徴で、その“飢えた状態”に気づかせ子どもたちと真剣に向き合うことで、それまで投げやりだった子どもたちですら目の色が変わっていきます。

そんな音楽ができることへの純粋な喜びこそ私たちが指導している中で最も大切にしてきたことで、広くたくさんの子どもたちにとってより良い音楽体験ができる可能性(=分母)が増えて欲しいと思っています。

(その点では、いわゆる「強豪校」はすでに毎年たくさんの有意義な音楽体験ができる子どもたちを増やしてくれているのだと思うので私たちは1つでも多くの「良い音楽活動ができる場所」を増やしていきたいと思っています。)

私たちはこれまで金賞を取ったことのない学校や生徒さんにこそ、金賞を届けていけるような活動を今後も続けていきます。

 

生涯にわたって音楽に関わる子どもたちを増やす

ここまで吹奏楽指導に焦点を当てた話をしてきましたが、私たちが目指す指導はあくまでも吹奏楽を一つの通過点としながら「生涯にわたって音楽を好きでいる人を増やすこと」です。

2025年春には、かつての指導校から東京藝術大学や桐朋音楽大学にそれぞれ教え子が入学することとなり、それもまたとても嬉しい報告でした。

また、高校進学も都内や関東圏有数の強豪校(東海大学附属高輪高校・都立小山台高校・都立岩倉高校・八王子高校・伊那学園・戸塚高校など)に中学時代の各指導校の生徒さんが進んでくれ、多く出会った子どもたちが今も音楽を続けています。

私たちに関わってくれた子どもたちがこうして(決して楽ではない)音楽の道に惹かれて進んでくれていることが私たちの指導の一番の目的であり、そういった子どもたちがいてくれる以上、「音楽を続けたい」「音楽が好きだ」と思ってくれるような社会づくりを、私たちは音楽の指導を通して今後もしていきたいと思います。

 

最後になりましたが、今年関わってくれた全ての指導校の顧問の先生方及び生徒の皆さんに御礼申し上げます。ありがとうございました。

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